ロッドが…
折れた…
そんな絶望的な状況…釣りを長く続けていれば1度は経験した事があるのではないでしょうか?
釣具店に持ち込み、メーカーで修理するか?それとも専門店に依頼するか?
悩みどころです…メーカー修理の場合は免責期間、専門店の場合はその費用、という問題があなたの前に立ちはだかります。
『いや、自分のロッドなんだから、この相棒を自分で修理したい!』そう考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回の記事では、
折れたルアーロッドの修理方法・その手順
必要な材料や道具類
私の失敗例⇒その後の再修理
これらについてお話しします。
この修理において1度は失敗しているのですが、この失敗例もこれから修理してみよう、と考える方の参考になるかもしれませんので記事にしている次第です。
また今回の記事で修理したのは私が初めて、自らの手で製作したロッド…当然ながら思い入れのあるもので折れてしまった際には、しばらく沖磯の上で独り、茫然と立ち尽くしてしました。
大切なロッドなんだ…
このロッドでないとダメなんだ…
どうにか修理し、もう1度使いたいんだ!
そんなあなたの為に記事にしました。
今回修理する、折れたロッドの状況
まずは状況をご説明しましょう。
上画像のひん曲がっているガイドは2番ガイドです。その少し上部から破断、そしてトップガイド、1番ガイドと共に折れたティップは紛失してしまっています。
もともと約10.7フィート(3277mm)のロッドの竿先178mmが喪失しているという状況。
スペックを下表にまとめます。
length | line max | cast max | drag max |
10.7ft | 70lb | 140g | 10kg |
このロッドを修理する方法を考え、実践しながら手順をご説明していきます。
折れたロッドの修理方法①
はじめにお話ししておきますが、この方法①は結果として失敗でした。冒頭でも述べた失敗例にあたりますので、ご留意ください。
ロッドの設計
このロッドを修理するにあたり、折れたティップを失っている訳なのですが、その部分を補うような修理方法を考えました。
というのも、このロッドは10ftのブランクスのバッドエンドをカーボンパイプで延長し、10.7ftのロッドとして製作したもの、その理由は私の行う釣り、沖磯からのルアーゲームにおいて魚とのやりとり、そしてキャスティングでの優位性を確保するために設計したものだからです。
まず直面した問題が、この失ったティップ部分をどうするか…
ブランクスのティップ側のみを購入し再製作、という方法がとれれば良かったのですがその手立てがありませんでした。
ブランクスを購入するのであれば既存のブランクスは廃棄する事となりますし、リールシートやグリップも再購入、再利用できるのは残ったガイドとバッドエンドぐらいとなります。
それならばもう1本を新たに製作したいところです。
そこでふと思いついたのが、我が家で眠っているかなり古いジギングロッドのティップをカットし継ぎ足す、という方法、このロッド製作時に印籠継ぎの要領で延長している経験もあるので「これしかないであろう」と試してみることとしました。
また継ぎ足す際の軸芯として、2mm程度のカーボンパイプを探していた際にちょうど良いサイズソリッドティップを見つけたのでこれを購入しました。
こちらがイメージ図、接合部を第2ガイドのスレッド巻きの位置におき補強を兼ねれば、見た目も自然になるのでは?と考えました。
折れたロッドの修理、実作業
手順としては、
- ①既存ブランクスの第2ガイドを除去
- ②破損しているブランクスを37mmカット
- ③芯用ソリッドティップを60mmにカット
- ④新規追加のティップ215mmをカット、不要なガイドを除去
こちらの画像は新たに追加するティップ、ガイドを取り外す際はカッターを用いてコーティングを削り取るのですが、ブランクスを傷付けないよう慎重に。
コーティングが固く、カッターの刃が入りずらい場合には軽くライターで炙ってから行うと良いと思います。
しかしブランクスは熱に弱いので、サッとくぐらす様に軽く炙る程度に、慎重に行う事をおすすめします。
またカットしたブランクスの断面は棒ヤスリ⇒紙ヤスリ(600番ぐらい)で整えておきましょう。
カットしたソリッドブランクス、これを軸芯とします。
私のロッドの内径にピッタリなブランクスが見つかり「これは運命か!」と思いましたが、そういう問題ではありません。
修理するロッド、そのブランクスの外径、内径などを詳しく調べておくことは重要なことかと思います。
そして仮組みしてみます。ティップの方がブランクスが太く段差があるのですが、スレッド巻きでうまく隠せるように巻いてみる事としました。
次いでブランクスと軸芯を2液混合タイプの接着剤で接着、この際に注意する点がブランクスのスパインを確認する事!
スパインとは「背骨」という意味です。ブランクスの製造工程において非対称な部分ができ、曲がる方向によって硬さの違いができ、背骨のような固い部分が存在します。
このスパインの方向によりロッドの調子が決まるので、これを確認しておく事はロッド製作時にも重要です。今回は製作した時と同じ向きにスパインを合わせました。次いで、
- ⑤ガイドにスレッド巻き
- ⑥コーティング
こちらの工程に至ります。
スレッド巻きに関しては最初のうちは難しいですが、慣れれば意外と簡単です。練習あるのみ!
このスレッド巻き、また次工程のコーティングに関してもですが、なかなか説明がしづらい内容となります。
今回修理したロッドの製作時にも参考にさせてもらったジャストエースさん(ロッドビルドやビルディング用品のメーカーさんです。)の動画がわかりやすいのでご参考に!
ちなみに私がこの修理で使用したスレッドやコーティング剤、筆なんかもジャストエースさんの商品です。
1度めのコーティングはスレッド全体に浸み込ますようなイメージで、後に半日ほど乾燥。
そして再度コーティング、私の場合は3回重ね塗りをします。最終コーティンング後は3日ほど余裕をもって硬化を待ちます。
そして修理完了!
見た目に違和感はありませんでしたし、自宅で曲げてみた感じも悪くなさそうでした。
いや~やってみるもんだ!
さっそく試し投げだ!
修理したロッドで試投
意気揚々と近場の漁港でのテストに臨んだのですが…
折れた…
第1投は軽めのルアーから試すべき、と70g程度のメタルジグの試投、ゆったりとキャストしたのですがリリースのタイミングで『バキッ』という軽快な音と共に、ティップが宙を舞いました。
あまりの驚きにサミングする事も忘れ、メタルジグと共に彼方の水面を割るティップを眺めていました…
前述したとおり見事な失敗です。
この失敗した原因について、ハッキリとした特定できませんが、
- 補強不足
- 接着不良
- 軸芯としたソリッドティップがこのクラスのロッドには不適応
など色々と考えられますが、そもそも私の知識不足、経験不足に起因していると考えられます。
この修理方法自体はもっとライトなロッドであれば可能な工法だと思われますが、100g級のルアーをキャストするようなヘビーロッドにはもっと強固な軸芯が必要な気がします。
軸芯として利用したソリッドティップ自体が綺麗に破断してしまっていましたので…
という事でまた振り出しへと戻ってしまった訳ですが、このままでは釣りに行くことも叶いません。
次の方法を考える事となりました。
折れたロッドの修理方法②
上記の失敗から、もっと強固な軸芯はないものか…と考えていたのですが良い材料が見つからず、もっともシンプルで簡単な方法「折れた部分にトップガイドを取り付ける」という方法を選択する事としました。
竿の調子が変わってしまうのは上記の方法でも同様であり、仕方がないと諦めていたのですが、長さがかなり短くなってしまう点は悩みどころでした。
しかし早々に修理をしなければ釣りに行く事すらできない、また修理方法の模索をしながら、
もう1本自作しようかな…
なんて考えにまで及び、この方法での修理に決定しました。
手順は、
- ①第2ガイドとなるはずだったガイドを除去
- ②ティップの先端に合うガイドを購入
- ③トップガイドを接着
- ④スレッド巻き
- ⑤コーティング
という事でサクッと完成、いちおう成功例と言ってよいでしょうか?
10.7ft⇒9.8ftとかなり短くなってしまいましたし、以前はプラッキングの際の操作がしやすかった竿が、100g超のメタルジグ専用キャスティングロッドのような調子になってしまいましたが…
折れたロッドの修理に必要な材料、道具類
ガイドの除去、ブランクスの加工などに必要なモノ
既設のガイドを除去する際、コーティングを剥がすために使用、ご家庭にあるものでも可能ですが力をこめやすい上記のようなモノがおすすめです。
また作業前に刃を更新し(折って)切れ味の良い刃を使用するべきかと思います。
ブランクスのカットに使用、このジーティーソーは木材からプラスティック類、アルミや鉛も切断可能なもので切れ味も良く、ブランクスをささくれ立たせる事無くカットができます。
また力も込めやすい点も良いです。
上記のノコギリとセットで使用、ブランクスを垂直にカットする為のガイドとなります。
材料を45°にカットする際のガイドも備えれれているので、ルアーの自作などその他DIYにも流用でき便利です。
ブランクスの接着に用いる2液混合タイプの接着剤、ロッドビルドの際にも必須のモノです。
ティップ延長の際に軸芯としたソリッドティップ、今回の修理では失敗例として残念な結果になってしまったのですが…
もっとライトなロッドの修理やソリッドティップ化などには使用できるかと思います。
スレッド巻き、ガイドコーティングの際に必要なモノ
スレッドコーティングの際に必須の道具、フィニッシングモーター、それなりのお値段もしますしロッド製作や修理を滅多に行わない方にとってはなかなか手が出しにくい物ですね、他にも色々な道具が必要ですし、迷ってしまいますよね…
しかし『ロッドビルディングに挑戦してみたい!』もしくは、『大切なロッドなんだ…自分で修理し、もう1度使いたいんだ!』という方には、
このスターターキットがおすすめです。
フィニッシングモーターに加え、コーティング剤、うすめ液、筆、接着剤(クイック5)、テサテープとセットになっておりかなりお得!
使用したスレッドはこちら、ヘビーなタックルの修理であれば太糸・Cをご使用ください。
最終的に使用したティップ径4.5mm用のガイド、修理するロッドに合わせて選定してください。
折れたロッドを自分で修理、さいごに
今回は折れたロッドを自分で修理する方法についてお伝えしました。
私にとっては苦い経験である失敗例が大半を占める内容となっているのですが、これもロッドの修理や製作などを考える方には多少なり、参考になるかもしれないので記した次第…
あなたの思い入れのあるロッドを大切に、さらなる大物に出会えることを祈っています。
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