お世話になっております。釣りに行けない…そんな時の暇つぶしにルアーを修理する、おりこみです。
突然ですが、タックルボックスの中を整理してみてください。
傷つき色褪せ、けれども捨てれない、しかしながら使えない。
そんなルアーが眠ってはいませんか?
数々の釣果をもたらしてくれたもの、初めての魚をヒットさせてくねたもの…しかし破損が酷くもう使えない思い出のルアー、1本くらいはあるのではないでしょうか?
『是非とも補修し、復帰させたい!』
そう思った事はないでしょうか?
「じゃあ補修を始めましょう!」…と言いたいところなのですが、最初に訪れる難関があります。
補修を始める第1工程となるコーティング・塗装を剥がす、この作業…
そもそもやり方、がわからない…
どんな方法が良いの?
ルアーが溶けた、破損した!
などなど、いろいろと難航している方も多いようです。
『補修するぞ!』と初めてみたものの、この最初の工程でつまづき、諦めてしまうのはもったいないと思います。
今回はルアーの塗装、トップコートの剥がし方について
様々な方法
それぞれの注意点
ルアーの種類によってどの方法で行うべきか?
これらについてお話します。
思い出のルアーをタックルボックスの肥やしではなく、是非とも最前線で、もう一度使って欲しい、そう思い記事にしました。
ルアーの塗装、トップコートの剥がし方
今回、私が普段行なっている方法、ネットで見つけた他の方法や、我が家で見つけた使えそうな物などいろいろ試してみました。
全般における注意点として、有機溶剤を使用する際は以下の保護具の着用を徹底してください。
- 保護メガネ(普通のメガネ、サングラスでも可)
- マスク(防毒マスクと有機溶剤用の吸収缶を使用するべきですが、なかなかお持ちの方はいないかと思います。せめて不織布マスクでも装着し、下記の換気を徹底してください)
- 保護手袋(専用の物がおすすめ、せめて100均のポリエチレン手袋や台所用ゴム手袋でも…)
なお有機溶剤の揮発した蒸気は空気より比重が重い為、有機溶剤の容器、浸透した布などは自分の顔より下で扱ってください。
そして換気、窓を開け、窓の近くで作業、サーキュレーターやファンも使用し揮発した蒸気が自分の方に来ない様、室外に逃げる様、工夫をするのが良いでしょう。
また有機溶剤を容器に移す場合、膨潤、溶解する可能性があるので材質は金属、ガラス、またはポリプロピレン製のものを使用してください。
ご存じの方も多いとは思いますし、当たり前の事ですが火気厳禁です。
※今回、材質等についてもご説明しますがそのルアーの材質を確実に判別できる訳ではありませんし、材質により変色、破損の可能性もあります。あくまでも自分のルアーなので自分で修理したい、と思っている方へ向けての記事となります。自己責任で行ってください。
メタルジグの塗装剥がし
材質は鉛やタングステンなのですが、塗装を剥がすために用いる有機溶剤で溶解する事はありません。
そのため様々な方法が可能ですし、わりと簡単だと思います。
紙ヤスリや棒ヤスリで塗装剥がし
ホームセンターや100均でも簡単に手に入りますし、自宅を探せば見つかる方もいらっしゃるのではないでしょうか?保護具はマスク、軍手ぐらいで十分ですし簡単そうな方法です。
アイ(目玉)はデザインナイフやカッターナイフであらかじめ取り外しておきましょう。
そして削ってみたのですが…この方法、ちょっとおすすめできません。
5分もたたず手や指が痛くなり、その割には全然剥がせないのです。
私は早々に諦めルーターとワイヤブラシのビットを使用し剥がしました。
素地のキズのバリも滑らかになり、ルーターをお持ちの方はそちらで試してください。
紙ヤスリは大変…
アサヒペン、強力塗装はがし液で塗装を剥がす
ホームセンターなどで購入できるモノで成分は『有機溶剤、界面活性剤』とだけ記載されています。
有機溶剤を使用しますので上記の注意点をお忘れなく、また保護具の着用は徹底してください。
今回は様子が観察しやすいようにユニパックを使用。
このユニパックはポリエチレン製のものなので一般に手に入る有機溶剤では、常温で溶解することはありません。
しかし膨潤の為か接合部分が剥がれ染み出したり、メタルジグの重みで穴が開いてしまったりするので実際に作業する際には金属、ガラス、またはポリプロピレン製の容器を使用してください。
投入してわずかな時間で塗装が剥がれているのが確認できます。
5分ほどで塗装が浮いてきたので、袋ごしに触ってみると簡単に剥がれてしまいました。
なかなか綺麗に剥離できますし、簡単なので良いですね。細かい部分は有機溶剤が乾かないうちにつまようじ、などで擦ると簡単に除去できます。
私は塗装に使用する筆を洗うのに使用しているのですが、大量のメタルジグを1度にリメイクする際、などにも使用しています。
10本ぐらいのメタルジグを瓶に詰め、この溶剤を入れて回すように振ると、その名の通り「強力」で手早く剥離できるので、こういったケースにはおすすめ!
ACCEL、ウレタンコートうすめ液で塗装を剥離
釣具屋で購入できます。ルアーのリメイクやハンドメイドルアーを自作、する方であればお持ちかもしれません。
メタルジグや自作用品の棚の下を探すと置いてある事が多いでしょう。
本来はルアーのコーティング剤、ウレタンコートを希釈する為に使うモノで成分は『有機溶剤』としか記載されていないません。
有機溶剤を使用しますので上記の注意点をお忘れなく、また保護具の着用は徹底してください。
上述した「アサヒペン、強力塗装はがし液」と同じ方法で試しています。
この方法も5分ほどで塗装を剥がせました。残った塗装は有機溶剤を含ませたキッチンペーパー、もしくはウエスなどで拭き取れば簡単に剥がれます。
JUSTACE、エポキシコート専用うすめ液で塗装はがし
ロッドビルディング用品を扱っている釣具屋、であれば販売している場合があります。
ロッドビルディングやロッドの改造などを行う方、であればご存知でしょう。ロッドガイドのエポキシコート剤を希釈するためのモノです。
成分は『メタノール、トルエン』との記載があり、試すまでもないと思ったのですが、せっかくなので試してみました。
有機溶剤を使用しますので上記の注意点をお忘れなく、また保護具の着用は徹底してください。
上述した「アサヒペン、強力塗装はがし液」と同じ方法で試しています。
コチラの方法でもやはり5分ほどで剥離ができます。残ったラメテープはデザインナイフで剥がし、残った塗料はウエスなどで拭き取れば完了です。
セリア、エナメルリムーバーで塗装を剥がす
色黒でやさぐれた私の様な者が、この商品を2~3本持ってレジに並び、店員さんにいぶかしげな視線を向けられながら、100均のセリアで購入できます。
成分は『アセトン、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、水、PG、パルミチン酸エチルヘキシル』と、細かく記載されています。
ネイルを落とす為のものらしいのですが、私の場合は少量のメタルジグを補修する際の塗装剥がし、によく利用する方法です。
有機溶剤を使用しますので上記の注意点をお忘れなく、また保護具の着用は徹底してください。
5分経過後、コーティング、表面塗装は膨潤し剥離できましたが、下地の塗装がまだ残っています。
再度5分ほど漬け込み、溶剤を含ませたキッチンペーパーで拭き取りました。
この商品は他の溶剤に比べると剥離力は弱いような気がします。そもそも爪に使用する物ですし、アセトンの含有量も少ないのでしょう。
だからこそ扱い易い訳でもあります。
プラスチックルアー、ウッドプラグの塗装剥がし
ウッドプラグの場合、ウッド素材は有機溶剤にて侵される事はありません。しかし木材の防水や補強のため、アンダーコートが行われているはずです。
おそらくはセルロースセメント(ニトロセルロースラッカー)を使用しており、ニトロセルロースにてコーティングされていると推測できます。
なので芳香族炭化水素系の有機溶剤以外を使用すれば問題ない…ハズ。
しかしルアーメーカーは『アンダーコートはコレで行っていますよ』といったアナウンスはしていませんので断言はできません。
なので市販の高価なウッドプラグなどの塗装を剥がす場合は慎重に、ご判断ください。
そして最も塗装剥がしを行う事が多いのは、市販品のプラスチックルアーでしょう。
素材として多いのはABS樹脂なのですが、メタルジグの項で紹介した溶剤に含まれるトルエンやキシレン、メタノール、アセトン、酢酸エチルや酢酸メチルなど様々な有機溶剤で溶解、もしくは膨潤してしまいます。
塗装やコーティングはウレタンが多いので、ウレタンを溶解もしくは膨潤させ剥離し、かつABS樹脂を侵さない有機溶剤が必要となります。
※今回紹介する方法はABS樹脂を溶解しない有機溶剤を使用するものですが、樹脂は多少なり膨潤するもの、素地に傷があったりするとそこからクラックが入る可能性があります。あくまでも自分のルアーなので自分で補修したい、再塗装したい、という方は自己責任で行ってください。
無水エタノールで塗装剥がし
薬局などで購入できるモノで成分は『エタノール含有量が99.5vol%以上』と記載されています。
私はPC周りや机などの清掃用に使っているのですが、試してみました。
有機溶剤を使用しますので上記の注意点をお忘れなく、また保護具の着用は徹底してください。
またアイ(目玉)の素材が何かは判別できませんが、アルコール類の有機溶剤で溶けた事がないので、私は取り外さず行いました。
ただし白濁する事もあります。ご心配な方は取り外してから行ってください。
今回は経過をよく観察する為、ユニパック内で漬け込みます。
10分程度、私が普段行う方法よりも短い時間で被膜が膨潤、袋の上から指で擦るだけで簡単に剥離してしまう状態となり、素地へのダメージが懸念された為すぐさま取り出しました。
そして歯ブラシで軽く擦ると…なかなかに綺麗に塗装を剥がせます。
ただし無水エタノールを使用する場合「塗装」を剥がす事はできますが、下地のホログラムシールはなかなか剥がす事ができません。
もう少し長い時間漬け込めば、膨潤により剥離できそうですが、やりすぎると膨潤による破損も考えられます。
この下地を生かした再塗装、をする場合には良い方法でしょう。
ガソリン車用水抜き剤で塗装を剥がす
ホームセンターなどで購入できます。
自動車の燃料タンク内の水抜き(水の溶解)を行う物なのですが、私がプラスチックプラグの塗装の剥離によく利用する方法です 。
成分は『イソプロピルアルコール、防錆剤』などと記載されているのですが、1つ注意点!
物によってイソプロピルアルコールの含有量が違い、70%や80%のモノがあったり、記載のない物もあります。
99wt%の物が望ましいので購入の際に確認しましょう。
有機溶剤を使用しますので上記の注意点をお忘れなく、また保護具の着用は徹底してください。
何故か我が家には2種類も水抜き剤があったので両方を使ってみました。
今回も経過をよく観察する為ユニパックを使用。
30分程で被膜が膨潤し剥がれ始めているのが確認できます。
一度取り出し歯ブラシで擦ってみましたが、もう少し、という感じ…再度漬け込みます。
10分ごとに取り出し、状態の確認と歯ブラシでの研磨を3回ほど繰り返し完了。
プラスチックプラグもウッドプラグも問題なく、塗装を剥がす事が可能でした。
ルアーのコート・塗装の剥がし方、さいごに
今回はルアーのトップコート、塗装の剥がし方についてをお伝えさせていただきました。
様々な方法が可能ですが私が普段よく行っている方法、
- メタルジグの場合⇒アサヒペン 塗料剥がし液orセリア エナメルリムーバー
- プラスチックルアー、ウッドプラグの場合⇒ガソリン車専用水抜き剤
これらの溶剤は手に入れ易く、かつ安価な物なので、取り組みやすいでしょう。
あなたの思い出のルアーがまた最前線で活躍することを祈っております。
そして次の工程となる【欠け、凹みの補修】については、コチラ⇓の記事などをご参考に!
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